昨日は手術して2ヶ月後の受診日。
先生、血液検査とレントゲン写真を見ながら、「異常ありませんね。じゃぁ、次回はまた1ヶ月後に同じ検査しましょう」と言って、診察を終わろうとした。
ボクは、あれあれ!?
「再発というのは何処にがんが潜んでいるか分からない状態。だから抗がん剤で予防的にがんをやっつける方法があるけれども、それをやりますか?どうしますか?」と1ヶ月前に宿題を与えたことを先生はすっかり忘れている。
ボクは慌てて、そのことを切り出し、抗がん剤治療を回避したいと返事した。
そしたら先生、「そうですね。それでいいでしょう。抗がん剤が効くかどうか判りませんからね」とあっさり。
「何ぁ~だ!先生は 最初からそう思っていたのか。」である。
「それならそうと初めに言ってよ!」と内心つぶやいた。
そうすればこの1ヶ月間、悩みに悩むことなく済んだのに・・と、恨めしく思った。
抗がん剤治療を回避したいと決断した理由、書いてしまえば簡単なこと。
今現在、検査で見つかるような再発ガンは体内にないのだから、
抗がん剤治療を始めても、効いているのか効いていないのか判定できない。
現在のところ健康状態に問題はないのに、敢えて毒物の抗がん剤を体内に入れることは理不尽である。
今後、新たにがんが発生した場合には放射線治療を第一選択肢とした方がベターなQOLになるだろう。
等々。
1ヶ月間、数冊の本を読み漁り、抗がん剤や放射線治療のことを自分なりに勉強した上での結論である。先生はそんなこと、知る由もない。
「医者は一般的に職業的自己防衛意識から、より深刻な事態を想定して説明することが多い」とは、西尾正道著 「放射線治療医の本音」という本の1フレーズ。
確かにその通りだと思う。それが形となっているのが、少し危険の伴う治療の前に必ずサインさせられる同意書であろう。同意書には想定される危険がすべて網羅されていて、医師はもれなく読み上げた上で、患者にサインを求めるのである。
今日の話もそれに類似したことになるのかな?
こういう治療法もあるよと患者に伝えておかないと、後々問題になっては困る。
だから、可能な治療法をすべて予め開示する。
患者は説明を聞いて納得した上で複数の選択肢から1つを選ぶ。
これが所謂、インフォームドコンセントなのだ。
してみれば、インフォームドコンセントとには、医師側の自己防衛的意味合いも多分に有るようである。
それにしても超多忙な医師には患者とじっくり向き合って、患者が十分理解できるように説明する時間など、とてもとても持ち得ていないと思う。
その結果、多くの患者はボクのような迷える子羊になる。
これもがん治療の難しさなる故かな。