6か月前にいったん正常値に戻ったガンマーカーのCEAがその後2回正常値を越えた。
そして今回はどうか?上がれば転移再発の可能性が高まる。
先生の診断が始まった。
「ガンマーカーのCEAは全く問題のない正常値レベルの3.2です。」CT画像を上から下までスクロールして診たあとで、「肺に異状は認められません。」
さらに問題の後縦隔のリンパ節を探りながらスクロールして、
「リンパ節の腫れが無くなって、認識できないほど小さくなっています。」
「どうやら単なる炎症だったようですね」。
ここまで聴いて、一気に緊張がほどけた。
家内ともども「よかった!」と声を上げた。
体調を訊かれて、ボクは「首筋のコリで首がよく回らないが、体調は良くなっていると思います」と答えると、すかさず家内が「よく体を動かしているし、木曽川まで歩いていくし、体調はよさそうに見えます。」とつないだ。
それを聞いた先生、「それは結構ですね。木曽川は水は未だきれいですか?シラハエは釣れますか?私は木曽川沿いの一宮出身で、シラハエ釣りをしたこともあります。」とおっしゃった。ボクが「まだまだ水はきれいですよ」と答えたところで、先生のケータイが鳴って話が途絶えた。鳴らなければもう少し雑談が続いたかもしれない。
先生が私的なことを交えて雑談されたのは初めてのことで、超多忙な先生には珍しい。
患者がいつもより少なく、時間的に余裕があったせいもあるかも知れないが、結果が良かったことに先生自身がホットされたのだと思う。そんな先生の気持ち的余裕を感じ取った。おそらくは、その先、まだ予定のないPET検査で陰性を確認するまで、疑いは晴れないだろう。