2016年3月15日火曜日

熟語「一期一会」の言い出しっぺは井伊直弼だった

原田伊織の「官賊と幕臣たち」という本を読んでいて、「一期一会」という言葉が井伊直弼の創作だと書いてあるのを見て驚いた。それまでは中国からの外来語かどこかの高僧が言い出したのだろうというくらいにしか思っていなかったから、あの井伊直弼だと言われたので驚いたという次第。
尤も、語源ということになれば、千利休の弟子、山上宗二の著『山上宗二記』にある、「一期に一度の会」から生まれた言葉だそうだから、文武両道に通じていた井伊直弼が茶道について著した「茶湯一會集」の冒頭で書いたことも納得出来る。
茶道を少しでも勉強していれば、茶道から来た言葉だというくらいは知っていたかもしれない。誠に恥ずかし。

ついでに、「官賊と幕臣たち」という本の前編に当たるのが「明治維新という過ち」という本のこと。サブタイトルの通り、日本を滅ばしたのは吉田松陰と長州テロリストたちであると説く。
この2冊を一緒に読むと面白い。
我々の年代は圧倒的に司馬遼太郎の本を読ん来たから、日本史を「司馬史観」で捉えがちだが、著者原田伊織はそれに異を唱え、それは誤った官軍史観だという。そう言われればそうかもしれない。
いつの時代も、勝者は史実を自分の都合のいいように解釈して繋ぎあわせ、それを後世に伝える。そう思えば、中国や韓国が日本に口を開くごとに「正しい歴史認識を」と迫るけれども、立場が変われば歴史認識が違ってくるのは当たり前のことでないのかな?

以上は読後感。見出しの話が横道に反れた。

2 件のコメント :

忠ちゃん さんのコメント...

一期一会という語句は、「茶の湯」の教えであることは承知していたが、井伊直弼の創作だとは知らなかった。でも、創作といよりもともとあった語句に直弼が命を吹き込んだと言うことか。
貴兄は、ジャンルを問わず読書意欲旺盛ですね。
この作家をネットで検索して「明治維新という過ち」の概要を知った。まさに従来の歴史観に対するアンチテーゼだ。
彼は井伊直弼のお膝元、彦根城下で育った。長州への批判的思いは強いようだ。
ボクは、以前触れたが小説類など全く読まなくなった。
パラパラと頁をめくり拾い読みするようなものばかり。
このところボクは家内のいるホームに半日程度いる。ヒマだからその部屋で少しは読書するようになった。いま目を通しているのは、
「ジュニア・日本の歴史」全6巻の6「近代の日本」です。地元図書館のリサイクル本です。エピソード主体で書かれており、これがなかなか面白い。ジュニア用だから分りやすくボクのレベルに合っている。
ちなみに「桜田門外の変」の記述(抜粋}を紹介しよう。
大老 井伊直弼が江戸城の桜田門外で殺されたのだ。
おそったのは水戸藩の浪士、伊井の恐怖政治に反対した行動であった。この大老に同情する人は少なかった。
「人のいやがる交易をはじめた伊井の死にざまは、あにここちよや」と言われたり、「伊井だこの桜田煮」とののしられた。そして幕府の権威はいちだんと落ちた。
こんな調子で
満州事変→日中戦争→太平洋戦争
琉球王国から沖縄県へ
開拓使→アイヌモシリ(アイヌの国)の滅亡
などなど。そうだったのかと断片的だった知識がつながり歴史の流れがよく分りタメになる。

ター さんのコメント...

>忠ちゃん 著者の感情的な記述が無いとは言えませんが必ずしも故郷びいきで書いているというわけではありません。史実を時系列的に検証していくと、現在言われているような歴史に誤りが多いということから、今までの歴史観は間違っていると論じていますね。ですから、説得力はそれなりにあると思います。ボクも常々、明治維新を成し遂げた連中はテロリストだったと思っていましたから、かなり共感するところがありました。
史実としては間違いない事蹟だけれど、それを人により立場により、都合のいいように解釈して後世に伝えられることのほうが多い。それが歴史なのかもしれません。