2012年2月21日火曜日

雛飾りを引き継ぐ


子供の頃、家には雛飾りがあった。
貧乏ながらも本家筋だから、代々引き継がれて来た古ぼけた雛飾りがあり、
姉たちもいたから、毎年、節句に合わせて座敷に飾られた。
確か、内裏と三人官女だけで、五人囃子がなかったように思う。
顔も衣装も虫食いだらけだったが、何とか格好がつく品物であった。
隣家といえば、緋毛氈を引いた7段飾りのフルセットで、見栄えがよかったから、子供心に羨ましく思っていた。
雛飾りを見るたびに、そんなことを思い出す。

分家したボクの家には先代から引き継ぐべき雛飾りがない。
だから、娘が生まれた折に義祖父母が買って呉れた。
義祖父母には、いろいろの事情で、娘(ボクの家内)に雛飾りを買ってやれなかったという苦い思いがあるから、孫娘には是非ともフルセットを与えたかったと言っていた。
しかし、当時社宅住まいをしていた我々には、それを飾るべき部屋のスペースがなかったから、将来飾れるようになったら三人官女や五人囃子を追加しようということで、内裏雛飾りだけを買ってもらったのである。
その内裏雛飾りが、今はボクの孫娘(義祖母の曾孫)のところに飾られている。
ここもフルセットを飾れるような部屋がないし、娘夫婦たちにもフルセットにしたいという思いがないようだ。
それならそれでいいだろう。
だか、雛飾りにこめた義祖父母の思いも一緒に引き継いで行って貰いたいと思う。
娘には伝えたが、孫娘たちにはたして伝わるかどうか?

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