2013年1月23日水曜日

歌集を賜る

ボクより4つ年上の知人から116頁からなる歌集が届いた。
見開きに、48年間連れ添った妻に昨年10月先立たれて落ち込んでいたが、若い頃から親しんできた短歌をまとめることで精神的な安定を取り戻しつつあると、記されている。
斎藤茂吉の高弟だった人に若い頃から師事したということだから、見る人が見たら秀作ばかりなのだろうが、その道のド素人のボクにはよく解らない。

だが、終わりの方に並んだ詩歌にいたく胸を打たれた。
例えば 
 窓に倚りて桜見せむと立たしめし老いたる妻のかひなぬくもり
 両の目のひかり衰えてゆく君よ左手(ゆんで)はかたくわれをにぎりて
 美しき老後あらむと語らいし君うつくしく死にたもうなり
 吾妹子(わぎもこ)はゐづくにをらむ中天に位置定まりて月冴えわたる
 をんじきのことも忘れて過ごしゐるひと日みじかし君をらざれば

冊子を頂いたお礼方々、おくやみの電話を入れた。
奥様の追憶の詩歌に触れる話になって、電話の向こうで声をつまらせる気配を感じ、
ボクも思わずもらい泣きした。

もし仮にぼくが家内に先立たれたとして、このように美しく妻のことを語れるだろうか?
到底、出来ない!出来ない!
そう思った時、彼の想いを伝える詩歌のすばらしさを理解したような気がした。
そして、彼自身もまた詩歌によって癒されようとている。



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