2016年5月20日金曜日

入院病棟の総合診療科スタッフによる診療

入院した当日の午後1番で病室に医師4名が訪れ自己紹介した。
このほかの2名を含めて、私達6名がチームになって担当しますと言い、
渡されたのが「総合診療科での入院について」という1枚の紙。
これを見ればこれからどういう形で診察が行われるのか一目瞭然。
患者を優先させた姿勢は、品質管理でいうところのお客様本位の考え方そのものである。
尤も、後で分かったことだが、こうした考え方は病院全体では徹底出来ていないようだから、
総合診療科だけの姿勢かもしれない。

総合診療科にはもう一つ別のチームがあり、2チーム編成で入院患者に対応しているとの説明もあった。
病院のホームページを見ると我が担当チームは、助教であるチーフがひとり、ベテランの医師が二人、研修医らしい医師が二人、学生がひとりという構成になっている。勿論、教授、准教授、講師も別にいるが、チーム編成には入っていない。
チーム内では患者の情報を全員で共有しているようだが、個人的に疑問があると個々に病室に問診に来るから、患者側は同じ内容の問診を重複して受けることになる。これが症状の重い患者にはかなりの負担になる。

考えてみるまでもなく、大学病院は医師を育てる教育機関でもあるわけだから、未熟な医師もいて当然であり、彼らが皆んなと同じ情報に接しながら自ら考え、自ら行動して、問診させるように、教育指導をしているフシが見えた。学生と言われた医師の卵のG君や研修生と思われる医師の動きを見ていて、そのことがよく理解できた。
その点、ベテランと思われる医師は最初こそ患者に多くの問診したが、必要な情報を聴き出したあとはほとんど問診に来なかった。研修医と思しき医師とG君だけが頻繁に病室を訪れた。
研修医が採血を行うときは、ベテラン医師が付き添い、採血の手順を細かくチェックしながらやらせた。G君は医師ではないから採血行為は出来ないので、見学と採血後の手伝いをさせられただけ。それも実際に自分でやるのは初体験だったようだ。
まさにOJT(on the job training)そのものが、眼前で展開されたのであった。
患者は訓練材料である。大学病院という性格上それもやむなし。

診断を下す際は、チーム全員と患者および付添が一堂に会し、先輩たちが見守るなかで、学生のG君が診断名と今後の治療方針を説明した。それも教育のうちなのだろう。説明が足りないところは指導医が補足した。
学生G君の額にはいっぱいの汗が浮かび、可愛く見えた。逞しく育ってほしい。

複数の医師に見守られているという感覚は患者に安心感を与えるから、良いシステムだと思う。
おそらく総合診療科に限ったことではないだろう。
しかし、患者に優しい病院かと言えば、決してそうでもない。ボクの経験したN日赤には敵わないと思った。
例えば、眼科で診察受けるのに入院患者であり、且つ、全身が痛いという家内が、2時間車いすに座ったまま、診察順番の最後の最後まで待たされたし、あちらこちら検査に回るたびに診察カード持参しなければならなかったが、こういうことはおそらくN日赤ではありえないだろう。リストバンドのバーコードを読み取れば診察券は要らないはず。また、N日赤では医師、看護師、職員は原則、患者と同じ目線で話をしてくれるのだが、そんな光景はこの病院ではまだお目にかかっていない。どうやら理念からして違うようだ。
こちらの病院は気位が高いのかなぁ・・・・?

2 件のコメント :

忠ちゃん さんのコメント...

貴兄が言うように「総合診療内科って凄い!」ですね。一人の受診者に多くのスタッフが関わり、診断、治療を進める。日本の医療制度は充実している。
同時にボクの家内も含めて、国の医療費は年々高額になり、社会保障制度の改革が喫緊の課題だということがよく分るような気がする。
今日、家内のいる施設で担当医の往診があった。
先生との雑談のなかで、「以前、ステロイド(リンデロン)を朝1回経管栄養時に注入していたが、その役割は何?」と参考までに訊ねた。先生曰く「脳腫瘍による炎症を防ぐため」とのこと。今頃何で、との顔付きだったので、実はと言って、貴兄の奥さんの症状を紹介し、「ステロイドを処方したそうです」と話した(勝手に紹介してゴメン)。
そうしたら「リュウマチ性多発筋痛症?」と先生が言ったのには驚いた。
病名を確定するまでは大変だが、珍しい病気ではないようですね。

ター さんのコメント...

>忠ちゃん 事例に挙げられたこと、don't mind ですよ。
総合診療科は整形外科、眼科に次いで受診者が多いようですから、スタッフもそれだけ多いのでしょう。確かに、人件費だけでも医療費を押し上げることになりますね。でも、先端医療や薬剤の方がもっと問題だろうと思います。
リュウマチ性多発筋痛症にはステロイドというのが定番のようですから、ステロイドと言えばまず挙げられるのがリュウマチ性多発筋痛症なのでしょうね。10万人当たり40人の発症というのは稀ではないという表現になるようですよ。だから、患者はそこそこいるということになりますか。