2021年12月23日木曜日

前野屋敷とJA職員

豊臣秀吉に仕えた一人に前野将右衛門という戦国武将がいる。
但馬国11万石の大名になったが、
後に秀次の不祥事で守役としての責を負わされ、悲運に没した。
将右衛門はわが町の隣の町の出身であり、現在は前野町の地名になり、
前野屋敷なる記念物が残されている。

遠藤周作が「男の一生」という小説を日経新聞に載せたのが、
確か昭和58年頃だったろうか?その主人公が前野将右衛門。
後に、単行本になってベストセラーになった。

遠藤周作が歴史小説を書くようになったのは、
「武功夜話」という古文書との出会いがあったから、
と言うのが定説のようだ。
将右衛門の実の娘が書き残した伝記ものだといわれている。
その古文書は伊勢湾台風で壊れた蔵を整理していて偶然見つかった。
その蔵こそ、前野屋敷にある蔵だった。
ボクは現役の頃、仕事の都合で、そのお宅を訪問した事がある。
そこの奥方から「我が家の蔵のことです」と直にお聞きした。

一昨日、昨日と続けて、我が家にJAの担当者がやってきた。
定期預金を生命保険に切り替えるためである。
雑談をしていたら、自宅の隣が前野屋敷のようだ。
それにも拘らず前野将右衛門の名前は勿論、前野屋敷の名前も知らないという。
これにはびっくり。

翌日、彼から報告があった。
60歳代の父親に訊ねたら、「男の一生」の本も自宅にあり、
我が家も将右衛門につながる一族だったらしいことが分かりました、と言う。
JA職員25才。これから勉強しますと言いながら帰っていった。
親父さんと息子との会話が少し進んだようで、嬉しくなった。

2 件のコメント :

忠ちゃん さんのコメント...

貴兄の読書通がこんな歴史的エピソードも承知していている。たいしたもんです。
ボクは将右衛門なる人物はもちろん初耳です。JAの若い職員は有能な営業マンに成長する?
本人は父親との話も弾み、新たに情報を得たので嬉しかったでしょう。それを顧客にわざわざ丁寧に伝える。
貴兄もまた嬉しいし、貴兄のハートをぐっと掴んだようだ。今後の営業活動にプラスとなる。
有能な営業マンは、こうした対応を積み重ねて人間関係を深めていく。それが成績アップにつながるような気がする。
ボクが営業マンと話をするのは、銀行員と証券マンです。2,3年で担当が交代する。若手が多い。雑談で敢えてプライベートなことを話題にする人がいるが、お互い親近感も沸く。これも一つの営業テクニックなのだろうと思う。

ター さんのコメント...

>忠ちゃん 江南市の般若も同じように木曽川の川並衆が跋扈していたことでしょう。小説はそこから始まるのですから関心もあり興味もあった訳です。面白い小説でした。
貴兄の今日のコメントは一段と冴えていますねぇ。ボクの言わんとしたところをちゃんと読んでもらって嬉しいです。