2011年3月30日水曜日

シーベルトからの連想

今、国民の最大関心事は福島原発の被災。お陰で、毎日、ベクレルとシーベルトを耳にする。
そのシーベルトがらみで思いつくまま。

シーベルトの強弱で引き合いに出されるCT検査のこと。
肺がん検診をCTでやれば小さなガンまで発見できるから、方法としてよさそうに思えるが、
1回に7㍉シーベルト以上の放射線を受けることになるので勧められないという説(近藤誠 慶應大学医学部 「ガンと闘うな」の著者)もあるとおり、ガン検診にCTを採用するのを躊躇している、という話も見聞きする。
であれば、X線検診に頼るのだが、X線検診のタイミングは非常に微妙であって、その適否が命に関わることを経験的に知った。
また、遅ればせながらガンについて、ガン専門医が書いた本を読んで勉強をした。
はじめに細胞の遺伝子に異常が起こり、それがガン細胞になったのは、ガンが発見された時を遡ること20~30年前ということだそうだ。そして、ガン細胞は2~3ヶ月ごとに細胞分裂を繰り返し増殖すると。この単純とも思える原則論をはじめて知って、あまりにも不勉強だった自分を恥じた。

ガン治療は早期発見に限るといわれる。早ければ転移前に切除して、根治の可能性が高くなるからだが、すい臓ガンほどではないとしても、肺がんが難治性だといわれるのも発見の難しさにある。
そのことは、肺がんが見つかって手術が出来る患者は20~30%にすぎず、しかも、病期Ⅰといわれる早期肺がんはそのうちの一部に過ぎないことで説明される。

では、ガンはどのくらいの速さで大きくなるのだろうか?数字で実感できないか?
そこで、計算でお遊び。
仮説を立てて計算を試みた。
仮説は、がん細胞が球形であり、2~3ヶ月ごとに細胞分裂を繰り返し、体積が倍々に増えるとすれば、直径がどうなるか?
立方根の計算はエクセル表計算を使えば簡単にできる。

自分の肺腺ガンは手術時に直径16mm だったが、間接X線で発見できる10mm以上になったのはせいぜい半年前、仮に発見が遅れても、早期発見と呼ばれる病期T1である30mm位内にとどまるのは半年後くらいであると計算された。即ち、早期発見に該当するのは1年間だけである。

最初にボクを診断した呼吸器内科の先生に質問したことがある。
「ここまで大きくなるにはどのくらい期間かかるのでしょうか?」と。
先生の答えは「4~5ヶ月くらい」だった。
上の計算はその話とほぼ一致したから、あながち的外れた内容ではないようである。
毎年少なくとも1回のX線検診は受けなさいという説の裏を、数字でとった気分になった。
そして、読んだ本の中に、「がん患者は、再発を怖がるよりは、手術を受けられた幸運を喜びなさい」と書いてあったことを思い出し、改めて自分の幸運をかみしめた。

0 件のコメント :