2012年12月6日木曜日

読経の声に聞き惚れた


直ぐ上の兄が3日に亡くなり昨日葬儀と初七日まで済ませた。
胸部レントゲンで影が見つかったのが自分と同じ2年半前、その1年後に中皮腫と診断され、余数カ月と告げられたが、1年数ヶ月生きられた。
職業病だと自ら納得し、家業を継ぐ息子にすべてを引き継だから思い残すこともないと言っていた兄も、終に息を引き取った。

葬儀は跡継ぎ息子の「親父を自宅から送りたい」という強い希望により自宅で執り行った。
通夜も告別式も、来たお寺さんはひとりだけ。
50歳前後に見受けられ、整った顔や手などはから一見尼さんか?とおもわれるほどだが、
発する読経の声は紛れもないお坊さんであり、美声の持ち主であった。


初七日を済ませた会食の席がたまたまお坊さんと隣合わせになった。
信仰を持たないボクには苦手な人種に入るのだが、
先方から故人との関係を問われたところで話の緒が見つかった。
話柄が途切れたところで、話題を替え、ボクからも読経の声に聞き惚れたことを伝えた。

以下は僧侶から聞いた話。
発声法をフランスの声楽家に学んだと云う。
声楽と読経はもとより発声法が異なるのだが、
その声楽家は、50㍍先の5円硬貨の穴に糸を通すほどの気持ちを込めて声を出すように教え、その次は更に50㍍先の針の穴に糸を通すつもりで発声しなさいと教えた、そうだ。
「私など5円硬貨までがやっとのことだった」、と謙遜された。
今は創価学会系のお寺の住職だが、4年間パリに居て、
北はフィンランド、デンマークから南はジブラルタル海峡の港町まで、
広くヨーロッパ全土をひとりでカバーしたという。
当然フランス語に通じ、英語もそこそこ出来るとのこと。

偶然とはいえ、このお坊さんに引きあわせたのは兄のはからいだったかな?という想いが、
あとでチラット頭の中をよぎった。
なかなか良いお坊さんだった。

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