2015年5月4日月曜日

船戸与一 満州国演義全9巻読了

船戸与一が先月22日に胸腺ガンで亡くなったと報じられて、慌てて図書館の蔵書検索で満州国演義第9巻を探した。8巻までは既に読了していて9巻の出版を待っていたのである。
図書館に9巻はあった。しかも貸出可とあった。直ぐ図書館に駆けつけて確保した。
発行日は今年の2月22日とあるから、図書館の蔵書になって間がない。
貸出可になっているのは読み手が少ないということなのだろう。
満州国を舞台にした小説を読みたいと思う年代は、我々から上の年代のひとに限られるのかもしれない。
作者は週刊新潮に連載を始めてから10年の歳月を掛けて完結させ、まもなく亡くなった。
9巻が遺作か?

彼の小説を読むきっかけになったのは、たまたま直木賞作家を検索していて目に止まったからに過ぎない。それまで名前さえ知らなかった。
直木賞の「虹の谷の5月」を読み、次いで「砂のクロニクル」と続いて、さて次はどんな本があるのかな?と思いながら探していたら、「満州国演義」の1~3巻が目に止まったのだ。これが2007年12月のこと。以来、今回まで読了に足掛け8年掛った。

 時間を掛けて本を読むと、大方は前に読んだ内容を失念する。
この本の場合もそうだった。だから決して楽しい読書だったとは言いづらい。
それでも最後まで読ませたのは満州国の歴史小説だからである。
歴史の詳細は別にして大筋を理解するには随分と役に立った。
主人公は男の4人兄弟、脇役に従兄弟を配し、夫々の生き様を書くことによって物語を進める。
主人公にはあたかも実在した人物のように錯覚するリアリティがあった。
モデルはいないと、別のところで作者は語っている。
9巻を一気に通読したらもっと面白く読めたかもしれない。

巻末に参考資料が掲載されている。
その量の膨大さに作者の注いだエネルギーを感じた。
どんな本なのかはこちらの書評が参考になるだろう。↓
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-3131.html

2 件のコメント :

忠ちゃん さんのコメント...

貴兄は本当に読書家だなあ・・・。恥ずかしながらボクは、この著者のことは全く知らない。元来、小説はあまり読んだことがない。思い出してもリタイヤーしてから読んだ小説は、ただ1冊のみ。1099年ベストセラーになった天童荒太の「永遠の仔」。このことは以前書き込みした。
ボクは活字として目を通すのは、専らボランティアガイドの参考として、美術作品や明治時代関連の解説書、文献だけだった(過去形)。

貴兄は毎日放送しているNHK「ラジオ深夜便」を聴いたことはありますか。
ボクは早朝3時半に目が覚め,ラジオをつける。4時から5分間のニース後、50分間、各界の専門家が呼ばれ、話をする番組がある。これがなかなか面白く、興味深い。
昨日、今日はノンフィクション・評論家の
保坂正康の「昭和史を味わう」であった。
テーマは、完成した「昭和天皇実録を読む。その時昭和天皇はどう考え、どう行動したか」さすがに評判のノンフィクション作家、
実録の内容と自身の調べた事実を加えながらの解説。聞き惚れた。
調べたら不定期に深夜便に保坂氏が登場し昭和史を解説していたようだ。ときどき再放送もしている。
保坂氏の番組は評判が良いらしく、4月から毎月第一日曜日に担当するとのこと。次回は6/7、今後毎月聞き逃すことないようにしたい。読むのではなく聴いて昭和史の知識を得ようと思っている。

ター さんのコメント...

>忠ちゃん ボクはお固い本は苦手です。もっぱら文芸もので、しかも世間でよく読まれているものが中心です。読書は暇つぶしであり、エンターテイメントですね。その中で、今まで知らない作家で面白かったと思うと、その作家の他の作品を漁るという読み方をします。
ラジオは東海ラジオの「カニタク言ったもん勝ち」を散歩しながら聞く程度で、ましてや深夜は聞いたことありません。また、朝は早くても5時ころの目覚めですから早朝のラジオも聞いたことがありません。
保坂正康は全く知りませんが、ネットで調べたら半藤一利という小説家と同じ系統の小説家で、昭和史に詳しいようですね。半藤の書いたものなら少し読んだことが有りますが、我々より少し年上で、昭和の同年代を生きた人ですから共感する部分が多いと感じています。
聴いて頭に入れるのと読んで頭にいれるのと、どちらがいいのか分かりませんが、自分の都合でいつでも読めるという時間的自由度では本が勝り、一方、テーマを自分で選ばない分、話題が豊富だという点ではラジオが勝ると言えるでしょうか。ラジオ深夜便を聴いてみようかな?