2016年7月19日火曜日

吉田博の絵


高校で同級だったNさんは自筆の水彩画の年賀状を毎年くれる。今年はどんな絵かな?と思いながら受け取る年賀状は元旦の楽しみの一つになっている。その彼から、Eテレ「日曜美術館ー吉田博展」は感激ものだったので、再放送をぜひご覧ください、というメールを貰った。
彼がこうした情報をくれるのは昨年の斎藤清の版画につづいて2度目である。
その斎藤清の版画は奥会津の原風景を描いたものが多く、ボクも奥会津に何度も足を踏み入れたこともあり、いたく感動した事があった。このことは既に書いた。
そういう彼からの情報だから再放送の期待は大きかった。

2日前の日曜日にその再放送を視た。郡山市立美術館で収録したもので、出演者の解説付き。
だから吉田博の作品群の素晴らしさがよく解った。
Nさんの言葉じゃないけれど、作品はどれも本当に感動モノ。
若いころの水彩画には霧であればその霧の湿度を感じさせる表現力に凄さがある。
版画に転じてからの作品はあたかもモネの印象画を連想させるような光に溢れている。
同じ版木を使って30回も摺りを重ねて描くという技法も初めて知った。そうした技法が生み出す表現力の凄さを視た。同じ版木から同じ構図の絵でありながら全く別の絵が作られることも知った。
吉田博は黒田清輝らの主流はから外れたところにあったから、日本ではあまり知られていなかったらしい。それがアメリカで先によく知られるようになった。
特に、水彩画は日本で知られた名だたる水彩画家の作品を凌駕している。そのことを日本人が知らなかったのだ。


水彩画を嗜むNさんが感激したのもよく分かった。
Nさんは郡山に飛んで行きたい気持ちに堪りかねて、せめて図鑑だけでもと考え、郡山市立美術館から図鑑を買い求めてたという。230点もの展示作品を収めた吉田博回顧展の図鑑に、彼は大満足だと言っている。
生誕140年吉田博展は千葉と郡山だけで終わるのは残念。
Nさんじゃないけど、当地に来れば絶対観に行くだろうものを。

(貼り付けた絵はネット閲覧画面をコピーしたもの)

2 件のコメント :

忠ちゃん さんのコメント...

ボクも吉田博の特集を日曜美術館で見た。何回も摺り重ねていくと雄大な富士山が浮かび上がってくる。
こんな版画が1枚ほしいなあ~。2,3百万円はするだろう?と勝手に思いながら見ていた。
吉田博の作品は、名古屋市美術館でも1枚所蔵している。常設展で「郷土の美術」コーナーで時々展示される。版画でなくて軸装された日本画「富嶽図」とい作品です。ガイドボランティアとして作品を紹介していた。
彼はこの地区との関連はないが、コレクターからの寄贈品として所蔵している。
彼の作品は、水彩、油彩、版画など多彩だが、晩年は版画に専念したようだ。実物ではないがTV画面から版画作品のすばらしさが伝わってきますね。

ター さんのコメント...

>忠ちゃん 多分、元美術館のボランティアガイドの貴兄ならご存知だろうと思っていました。
しかも、同番組をちゃんと視聴されていたのは、流石ですね。
テレビ放映から色々勉強させてもらいましたが、版画とはこうして摺るものなんだなんて、初めて観ました。摺り重ねることによって随分印象の違うものになっていくのですね。
版画は勿論、水彩画も素晴らしかった。
兎に角、こういう分かりやすい作品はいいですね。
コメントのカキコにご苦労されているようですね。
ボクの方で勝手に重複部分を削除しておきましたので、悪しからず。