2011年6月1日水曜日

「文明の衝突」を読み終えた

以前に触れた、「文明の衝突」を何とか読み終えた。
同書は、アメリカの代表的政治学者の一人であるサミュエル・ハンチントンが1996年に出した本の訳本で、1998年に「文明の衝突」として出版され、当時、衝撃の本と騒がれたことを覚えている。
今では読み手もなく、図書館でも書庫に仕舞い込まれていた。
ボクには難解な内容だから理解出来ない部分も多かったが、いい勉強になった。

世界の戦争や紛争は、東西冷戦が終結した1989年12月を境に、イデオロギーから文明の争いに変わったというのが主旨。
人は自分が属する文明とのアイデンティティに因って考え行動するものだと説く。
だから西欧文明の押し付けは紛争の元になる。
とりわけ西欧の最強国アメリカは非西欧文化圏から手を引くべきだ。
と。
さらに、空想話と断りながらも、東アジアの経済成長とイスラムの人口増加によって中国文明とイスラム文明の勢力が拡大し、「儒教―イスラム・コネクション」を形成して西欧に敵対するだろうとし、日本はやがて中国の覇権に飲み込まれて、アメリカと対戦することになるだろう、と論調を広げるに及んでは、
う~ん、これは衝撃的だ!と思わざるを得なかった。

しかも、つい最近にも、パキスタンに於ける中国の軍港建設、ベトナムの石油探査船への中国警備艇による妨害などのニュースが伝えられている。
スピードこそ違え、内容的には、中国覇権が著者の予想通りに展開しているではないか。
やはり、おそろしい本だ。

ボスニア・ヘルツゴビナの内戦、コソボ自治州における紛争、イスラエルとパレスチナの対立などの問題にも、メガネの曇りを拭った感じがする。
これも、ボクにとっては大きな収穫だった。

この本、内容が内容だけに批判も多くあるようだが、決して古くはなく、現在も、生きている。

なお、著者の論調を以てすれば、ウサマ・ビンラディン殺害のあと、イスラム過激派のテロは一層激しくなると予想される。

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